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日本の医療を憂う


マイケルサンデルのハーバードでの講義を読んでいると、自分に関わる分野、つまり医療分野での政治倫理に思いを馳せざるを得なくなる。
加えて、昨今の日本の経済状況である長引くデフレ、円安というだらだらした冴えない実情と、
次第にグローバリズムに傾倒し始めたアベノミクスに不安を感じてしょうがない。
身近な出来事では、特定医療材料の保険償還価格が下落している事実である。
憂うのは、それとともにこれまで重宝して使用してきた医療材料が採算性の観点から次々に製造中止を余儀なくされている実情である。
アベノミクスは医療費を軽減しようとしている。
さらに恐怖は国が負担する介護費用も削減しようとしていることである。
何年か前に先見の明がある医師の論客が、当時起こった世間を騒がせた医療事故を例に挙げ、
日本の医療費が先進諸国の中では最下層に位置しているデータを根拠に医療費増大案を訴えていた。
結論として示した第一は医師数の増大であったが、当時の医療費抑制政策下では人件費は上がらず、
また研修医制度による都市部集中に歯止めを来す策は提言されず、説得力ある追加発言は今の所、公にはなっていない。
混合診療が全面的に解禁されない限り日本の医療に市場原理は原則作用しない。
保険償還価格や診療報酬点数は国が決めており、医療機関と業者はそれに従う。
それが「いい」とか「わるい」とかの議論ではなく、日本の医療安全保障を維持するためには何がベターか?という議論なのである。
医師の数を増やすという論点は、医療費抑制政策があるからには実現の可能性は低く、しかし政策を凌駕して医療費は増えて行く。
一方で国は社会福祉軽減策に奔走し、地方自治体に丸投げする強引な方策を打ち出している。
医療、介護、福祉というきわめて国策的な分野と政治がどう関わって行くのか?
注視する社会問題であると同時に、自らの死活問題でもある。

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「平穏死のすすめ」 ー 石飛幸三先生の講演



以前から興味があり注目していた、石飛幸三先生の講演を当院で拝聴する機会に恵まれた。
石飛先生は元血管外科医で、現在は世田谷区の特別養護老人ホーム(以下「特養」)の常勤医をされている。
「平穏死のすすめ」というベストセラー本を書かれており、1年ほど前に私も拝読した。
大変共感するところがあり、今回講演会に足を運んだが、著書以上に興味深い内容であった。

誤解を怖れずに先生の主張を要約すると、人間には寿命があり、それは自然の摂理で家族や医療者はそれを受け入れなければならない。その自然の摂理に反するような単なる延命のためだけの医療には慎重になるべきである。そのように「平穏死」を迎えた人とその家族、そしてそれを支えた看護、介護職員らスタッフは大変幸せであったと。そのような内容である。

特養の入所者の多くは認知症(先生の特養は9 割)であり、この平穏死を語るのに「認知症」というのは欠かせないキーワードとなる。認知症で、自分が誰か、家族が誰かもわからなくなった老人に対して、誤嚥性肺炎の予防目的(つまり延命のために)で胃に穴をあけて栄養を送る、『胃瘻』という処置が病院で行われることが多い。石飛先生は、そのような延命処置でしかない胃瘻手術に異を唱える。

先進医療、中でも侵襲の高い手術を行っている私たちにとっても石飛先生の主張は心に響くものがあった。


低侵襲手術とは何か その1

TAVI1
低侵襲大動脈弁置換術 カテーテル治療 TAVI TAVR 経皮的大動脈弁置換術
さて、TAVI、TAVRという治療が心臓血管外科業界で脚光を浴びている。実際は欧米で2002年から行われ、本邦では遅ればせながら昨年2013年10月にようやく保険適用となった治療である。「低侵襲」を謳いながらも高度な技術と設備とスタッフを要する先進的医療である。
この治療に関して、「心臓」という循環器系の医療雑誌が最新刊で特集を組んでいる。その雑誌の巻頭言(この雑誌は「OpenHEART」と銘打っているが)で某国立大学心臓血管外科の教授が「医師の自制、患者の自主」という題目の興味深い記事を書かれていた。
要約すればこうである。今後日本は世界に類を見ない超高齢化社会に突入する。医療費や社会保障費は高騰し、消費税の3%増税だけでは賄いきれない。医療の分野の内訳を分析すると循環器の分野の医療費高騰が目立つ。そのひとつとして高度医療機器が超高齢の老人に適用されていくことがあげられると(心臓 2014年4月号 Vol.46 No.4より)。ペースメーカーや「TAVI」など。このようにTAVIの特集号でありながら、あえて先進医療に釘を刺すような巻頭言を載せる雑誌編集者の粋を感じるとともに、その教授の問題提起に感心した次第である。



久しぶりの登場です

私が2年前から話題にしていた山中教授がノーベル賞を晴れて受賞しました。

嬉しい限りです。

山名教授ご自身もよく理解しているようで、広く国際社会に貢献する以前の受賞であり、これはある意味超画期的発見の分野に位置付けられた受賞のようです。
ワトソンークリックDNA二重螺旋構造発見に匹敵するかもしれません。

さて、日本政治の世界はこのノーベル賞受賞の栄誉とは何とかけ離れた茶番の繰り返しでしょうか??

「近いうち」はいつなんだ!?

「約束は守れよ!」

って、お前ら中学生か?

心臓血管外科医の憂鬱

2009年頃から、海外の心臓血管外科系学会でのトピックスのひとつが
「人工心肺を用いずに、心臓を動かしたままで行う大動脈弁置換術
=Transcatheter aortic-valve implantation(略してTAVI:“タビ”)」です。

サイトにも記述したように、
昨年相次いでその臨床結果を報告する論文が掲載されました。
カナダ、ドイツに引き続きアメリカでは昨年10月
「The New England journal of medicine」に論文が発表されました。

いずれも、リスクが高い(従来の手術では危険性が高い)患者さんに有用であったというものです。

日本では昨年秋にようやく治験が始まり、現在3施設でそれが行われています。
「治験」についてはこちらを参照(Wikipediaは主に新薬に関する記述)

一般の病院が使用出来るのは、
この「治験」が終わり、データを厚労省がチェックし、承認を得るのを待つ。
で、担当学会が使用基準を作成する。
で、各病院が施設申請を行う。
で、学会の承認を待つ。
というプロセスを踏むことになります。

現在、この学会以後の作業はかなり迅速になっていると理解しています。
問題は厚労省の承認です。

今回の「TAVI:タビ」が迅速に承認される可能性はもちろんありますが、
現時点でアメリカ、カナダ、ドイツにはるかに遅れを取っている状況で、
これから参入しようという施設が実際に手術可能になるのは早くても今年の終わり頃で、
これでは日本が先進国で先端医療を行っているのだと誇れるものではありません。

プロセスを省略しリスク分散を防ぐために、
行える施設を限定するという方法があります。
例えば心臓移植のように日本国内で7施設位に限定するという方法です。
これは一理ありますが、心臓移植のように稀少な手術(国内年間10~20例ぐらい)では有意義ですが、
「TAVI:タビ」はおそらく普通に年間300例位が対象となる可能性があり、
日本の医療の「利便性」という特長を生かすにはいささか不便な対応です。


この話は同様に「埋め込み型補助人工心臓」にも言えることです。

少し、静観することにします。
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